自己破産手続について


 ある会社(個人)が、自己が振りだした手形や小切手の決済ができなくなると、一般には「倒産」したと言います。そして、その倒産した会社(個人)が裁判所に対して破産宣告の申立をして、裁判所が破産を宣告した場合初めて法律上「破産」と言います。

 大部分の破産は、破産者自身の申立(自己破産)によることが多く、債権者から申立てられることはあまりありません。

 ところで、「破産」という言葉が新聞紙上に頻繁に登場してきたのは、いわゆるサラ金地獄から抜け出すために、債務者が自己破産手続きをとるようになった昭和54年ころからでしょう。
 従来は、「破産」といえばそのほとんどが何らかの営業活動をなしてきた会社や個人が主役でしたが、サラ金破産の申立をしているのは、一般のサラリーマンや家庭の主婦がほとんどです。
 このため、大阪地方裁判所の破産部は、裁判官や書記官を増強していますが、破産事件の増加に追いつかず、今や破産部が「破産」するとまでささやかれる異常事態になっています。

 私も、弁護士登録以来数多くの破産申立をしてきましたし、最近では、裁判所から破産管財人にも選任されるようになりました。
 私が、破産申立をするときにいつも思うことは、なぜもう少し早く私のところに相談に来てくれなかったのかということです。申立人のほとんどは、借りられるだけ借りてもう誰も貸してくれなくなったときに、サラ金や暴力団の関係する金融業者から金を借り、結局その高金利の支払いのため自分の商売や生活を破壊されてしまうのです。

 高利のお金を借りる前で、まだ処分できる財産が残っている場合であれば、破産手続きをとらずに債権者と話合いで解決できるかもしれませんし、仮に破産となっても、ある程度の配当ができ、本人が再起することも容易となりますが、高利のお金を借りたために財産を全部取られてしまい破産申立の費用もない状態になってからでは手遅れです。ここで破産申立の費用と言いましたが、これは破産申立に際して裁判所に納める予納金のことで、大阪地方裁判所では、法人なら少なくとも約20万円以上が必要です。

 一方、債権者からは、破産法は悪法であるという声をよく聞きます。債権者にしてみれば、自分の大事なお金や品物を持っていった債務者が、自己破産を申し立てることによって、債権者からの追及を免れると思うからでありましょう。
 しかし、破産者がほんとうにその債務を支払わなくて済むようになるためには、破産申立とは別に、免責の申立をして裁判所の許可を得なければなりません。そして、債権者は破産者の免責申立に対し、異議を申し立てることができるのです。

 破産者になると、選挙権がなくなるとか、就職もできなくなるとか誤った認識を持っている方がいますが、破産者となってもその後日常生活をするには何らの差し支えもなく、強いて言えば会社の取締役になれないことぐらいでしょう。

弁護士 F





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