ご利用下さい
法テラス(日本司法支援センター)
H18.10.2業務スタート

〜法律トラブルでお悩みのあなたに、解決への総合窓口登場〜

総合法律支援法の制定


身近となる法的トラブル
          縁遠い法的サービス

 いざトラブルに巻き込まれたとき、すぐに相談できる弁護士や司法書士など、いわばかかりつけの法律の専門家をおもちですか。大半の方にとっては、トラブルの内容によって、いったい誰に、どこに相談すればよいかも分からないのが実情でしょう。
 規制緩和という社会の流れの中で、ますます自己責任が問われるようになり、一般の人にとっても、法的なトラブルを防ぎあるいは解決する必要がなお一層身近なものとなっています。にもかかわらず、法サービスはなかなかこれに追いついていません。司法改革の一環として、まずは、ロースクールができて、法曹人口の倍増には着手されました。
 そして、一般の人々と法律サービスを結び付けるための法制度「総合法律支援法」が新たに制定され、今回いよいよ実際にスタートすることとなりました。めざすは、民事・刑事を問わずあらゆる法律トラブルに対処できるよう、しかも、どんな過疎地も含めて全国的に同レベルでの身近な法律サービスの支援が受けられる社会です(1・2条)。

途方に暮れたら……  まずは法テラスに連絡を

 その中核を担う組織として設立されたのが「日本司法支援センター」(愛称:法テラス)です。
 法テラスでは、次の5つの業務を中心に行います(30条)。

(1) 情報提供
 法テラスは、市役所やデパートなどの総合案内・受付の役割を果たします。
 トラブルが起こったときに、まずは法テラスに問い合わせれば、それに対処するためにはどんな法制度があるか、また実際の解決にはどこに相談すればよいかを無料で教えてくれます。たとえば、友人に貸した金を催促しても返してくれないなら、支払督促(そよ風139号)や、貸した額が60万円以下なら少額訴訟(そよ風90号)という制度があることなどを紹介し、さらに実際に必要な手続きを弁護士等に依頼したいなら、お近くの弁護士会等の相談窓口を紹介してくれるといった具合です。紹介する専門の機関は、国・地方公共団体(消費者センター等を含む)・弁護士会・司法書士会・弁理士会・行政書士会・社会保険労務士会・消費者団体・経済団体・労働団体・ADR(裁判外紛争解決機関)等々、広くネットワークをつくって、相談内容にもっともふさわしい窓口を紹介してくれるはずです。
 ただ、法テラスの窓口では、実際のトラブルの中身を勝つ見込みなど法的に判断して、とるべき解決手段をアドバイスするという、いわゆる法律相談を行うわけではありませんのでご注意ください。
 まずは、法テラスへお電話ください。コールセンターの専門オペレーターがすぐにお応えします。情報提供は無料です。全国どこからでも3分8.5円(税別)の電話料金だけご負担ください。
 インターネットにも対応しています。ホームページにアクセスください。
 もちろん、直接窓口にお越しになられてもOKです。本部は東京都に、地方事務所が各県庁所在地に置かれている(北海道は函館・旭川・釧路にも)ほか、各地に支部や出張所などが開設されています。

(2) 民事法律扶助
 でも、お金がないからやっぱりあきらめる…ことはありません。法テラスでは、資力のない人に、無料法律相談を行い、訴訟費用や弁護士費用などを立て替える制度があります。従来、「民事法律扶助法」(そよ風107号)に基づいて財団法人法律扶助協会が行っていたこれらの事業を、法テラスが引き継ぎました。
 あなたが一定の資力基準以下の収入なら、各地の法テラスで、あるいは法テラスと契約している弁護士や認定司法書士の事務所で、無料法律相談が受けられます。そして、必要に応じて、裁判所へ提出する書類の作成手数料(書類作成援助)や裁判所で民事・家事・行政事件をするための弁護費用(代理援助)も、法テラスが立て替えて支払います。立替金は無利子。分割弁済が原則ですが、返済猶予や免除の制度もあります。まずは、法テラスにお問い合わせください。
 ちなみに、法テラスが法律扶助を引き継いだことで、「民事法律扶助法」は廃止されました。

(3) 国選弁護制度
 刑事事件も同様です。お金がないからといって弁護をあきらめることはありません。それどころか、刑事被告人には、弁護人を付けることが憲法で保障されているのです(国選弁護人制度、憲法37条3項)。
 法テラスでは、裁判所からの要請で、国選弁護人の候補者を指名・通知する業務を行っています。
 ちなみに、平成18年10月からは、被疑者段階での国選弁護も始まりました(くわしくは「刑事訴訟法改正」をご覧ください)。

(4) 司法過疎対策
 全国の地方裁判所本庁・支部所在地域のうち、実に43ヶ所では、弁護士がゼロかあるいは1人しかいない地域があります。これでは、原告と被告双方に別の弁護士がつくことすらきわめて困難となっています。これまで、日本弁護士連合会(日弁連)が公設のひまわり事務所を開設してきましたが、対応には限度がありました。
 法テラスでは、その地域の法サービスの需要や、近隣地域からの交通の便と支援の可能性などを考慮して、必要に応じて、地域事務所を開設したり、あるいは巡回法律相談を実施したり、依頼に応じて弁護士を派遣することも行います(有料)。
 ちなみに、法テラスには、全国の弁護士(民事では司法書士を含む)が、法律扶助や国選弁護について、契約・登録して協力しています。このほか、直接法テラス自身が雇用するスタッフ弁護士もおり、扶助・国選事件を担当し、過疎地での法サービスにも従事します。

(5) 犯罪被害者の支援業務
 犯罪の被害にあった本人や家族・遺族の人権を守るための法制度が、近年急速に整備されています(平成12年「犯罪被害者保護法」そよ風109号、平成17年「犯罪被害者等基本法」そよ風135号)。
 法テラスでは、その状況に応じて必要な支援ができるよう、とくに専用回線を設けました(TEL0570−079714)。支援のための法制度を紹介するほか、被害者援助団体を紹介したり、被害者等の援助に精通する弁護士を紹介します。

弁護士はあなたの権利のため独立して活動します

 こうした活動を担う「日本司法支援センター(法テラス)」は、本法に基づいて、平成18年4月1日に設立された法人組織です。他の者がこの名を名乗ることは許されていません(18条)。
 資本金は政府が出資しましたし、必要な財政的措置がとられるほか、理事長・監事は法務大臣が任命します(17・20条)。また、司法に密接に関連する業務を行うわけですから、最高裁判所が、その設立・人事・運営にも関与していくことになります(20・21・24・29条等)。
 とはいえ、刑事事件では国選弁護人は国家権力(検察官)と対峙するわけですし、行政事件は国や地方自治体を相手どることになり、民事・家事事件についても国家権力が介入することは好ましくありません。そこで、法テラスは、国から独立した機関として発足しました。理事長や理事には、直前の2年間裁判官や検察官の職にあった者はなれませんし(24条)、役員や法テラスで働く職員はすべて公務員ではありません。
 もちろん、職務上知りえた秘密を、在職中も退職後も守秘する義務は課せられていますのでご安心ください(27条。違反には1年以下の懲役または50万円以下の罰金、52条)。
 そして何より、実際の法律相談や弁護にあたる弁護士等の専門家は、その具体的な職務活動については、法テラスの指揮命令は受けません(33条)。これは、法テラスに直接雇用されているスタッフ弁護士についても同様です。あくまで独立性を保って、依頼者の権利と正当な利益のために、自由な立場を堅持します。
 法テラスが弁護士等との契約を解除・停止するには、裁判官・検察官・弁護士・有識者らで構成される審査委員会での審査・議決を経る必要があります(29条)。

いよいよ船出――広くご利用・改善を

 平成16年6月に「総合法律支援法」が施行されてから、約2年の準備期間をもって、平成18年4月に「日本司法支援センター(法テラス)」は発足しました。そしてさらに半年にわたり準備がなされて、いよいよ平成18年10月2日から法テラスは業務を始めることとなりました。
 コールセンターの利用者は年に120万人、利用者全体では実に200万人──これまで法律とは縁遠く、あきらめていた多くの人々の利用が見込まれています。情報提供は的確にスムーズにできるのか、法テラスと契約する弁護士や司法書士は十分確保できるのか、法テラスのこれからが問われます。
 なお、法テラスの活動は、年度ごとに、中期計画(とりあえず平成22年3月まで)ごとに、法務省に設置される日本司法支援センター評価委員会で客観的・専門的に評価され、制度の改善がはかられることとなっています。




ホームページへカエル
「最近の法令改正」目次にもどる
次のページ(被疑者国選弁護開始!刑事訴訟法の改正)に進む