<その後「特定商取引法」はさらに改正がなされ,平成21年12月1日より施行されています(くわしくはそよ風162号参照)。>



ご注意!!あなたを狙う悪徳商法
こんなにある!あなたを守る法のルール
毅然とした態度と法知識の充実で対抗しよう
特定商取引法の改正(H16.11.11施行)


近年はやりの悪徳商法――
    点検商法・マルチ商法…


 “無料です”のふれこみで、床下を、屋根を、耐震診断を、水道水を、布団のダニを、消火器等々を「点検」し、その結果、“危険です”“健康に悪い”と不安をあおって、結局は、床下換気扇や白アリ駆除、屋根修理、耐震工事、浄水器、遠赤外線布団など高価な契約を取りつける──しかも、あとでウソだとわかったり、法外な金額だとわかったり……これらは「点検商法」と呼ばれ、独り暮らしの老人がとくに狙われています。しかも、一度だまされると次々に同様の悪徳業者がやってきかねません。カモとして名簿まで出回るのです。
 大学生や主婦の間で広まったのが、いわゆるマルチ商法です。“いいビジネス”“勝利者になろう”等と呼びかけ、悪いイメージをもつ「マルチ商法」にかわって「ネットワークビジネス」「コミュニケーションビジネス」と言葉だけはかっこよく、内実は同じで、もうかるのは一握りのトップだけ、他は多額の売れない商品と借金をかかえて苦しむことは必定です。しかも友人関係までこわす恐ろしい商法です。
 このほかにも、デート商法や当選商法などのアポイントメントセールスが、携帯電話やメールを利用して、より広範囲に行なわれるようになりました。

特定商取引法でトラブル多発の6つの取引を規制

 こうした悪徳商法を規制するのが「特定商取引に関する法律」(特商法)です。
 もともと、訪問販売を規制する法律として出発したものの、新手の商法が次々に出てきて、現在では、消費者トラブルの多い次の6つの取引形態を規制する法律となっています。

(1) 訪問販売
 自宅への訪問販売のほか、キャッチセールスやアポイントメントセールス(電話等で販売目的を告げずに営業所などに呼び出す)を含む(そよ風38号参照)。
(2) 電話勧誘販売
 電話で勧誘して申込みを受ける(そよ風84号参照)。
(3) 通信販売
 新聞・雑誌・テレビ・インターネット等で広告し、郵便や電話など通信手段で申込みを受ける。
(4) 特定継続的役務提供
 高額な価格を伴う長期・継続的な役務(エステ・語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚情報サービス)を提供する(そよ風102号参照)。
(5) 連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)
 個人を販売員として勧誘し、さらに次の人を勧誘させて、次々に販売組織を連鎖的に拡大して商品・役務を販売する(そよ風84号参照)。
(6) 業務提供誘引販売取引(いわゆる内職モニター商法)
 仕事を斡旋(あっせん)すると引きつけ、仕事に必要だと商品購入や講座受講等を義務づける(そよ風111号参照)。

 この特商法が改正され、平成16年11月11日から、次のとおり規制が強化されています。

悪徳商法は目的を隠して近づいてきます

 点検商法・デート商法・当選商法・セミナー商法……勧誘の目的を隠して、一見、親切そうに近づいてくる商法には要注意です。そこで、(1)訪問販売(2)電話勧誘(5)マルチ商法(6)内職モニター商法については、勧誘に先立って、まず勧誘が目的であることを告げることが義務づけられました(法3条、33条の2、51条の2)。
 違反した者には改善指示が出され、悪質な場合は1年以内の業務停止命令もありえます(法7・8条等)。

禁止事項を拡充――
  不誠実な商法には厳罰

 禁止事項に違反すると、懲役や罰金刑という重い刑事罰が科されます。その禁止事項が次のように拡大されました。

(a) 不実告知を列挙明確に
 (1)訪問販売(2)電話勧誘(4)特定継続的役務では、従来、「不実告知」つまりウソをつくことについては、契約上の判断に影響を及ぼす重要なものは禁止するという抽象的な記載しかなされていませんでした。これを具体的に列挙することにし、効能・商標(製造者名)・販売数量・必要数量・効果・対価・支払時期と方法・契約の撤回解除と、明記しました(法6条1項、21条1項、44条1項。規則6条1項1号)。
 さらに、契約を結ぶ動機につながる「契約締結を必要とする事情に関する事項」も、ウソをつくことが禁止されることとなりました。たとえば“ご近所はみなさん買った”“床下が腐っている”等々、契約するかの判断に係わることでウソをつくのも厳禁です。
(b) 不告知も禁止事項に
 一方、(a)のウソをつくことが禁止されている各項目について、故意に、客にその内容を知らせないことも、新たに禁止事項として刑事罰の対象となりました(法6条2項、21条2項、44条2項。ただし、前述の契約締結を必要とする事情に関する事項は除く。以前は改善指示・業務停止のみで刑事罰の対象外だった)。
 (a)・(b)とも、違反すれば、2年<平成21年12月より「3年」に>以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます(法70条、併科もあり)。ちなみに、(5)マルチ商法(6)内職モニター商法については、従来から同様の規定があり、これが他の取引にも拡大されたものです。
(c) 目的を隠して人目を避けた場所に誘い込みは禁止
 (1)訪問販売(5)マルチ商法(6)内職モニター商法については、前述のとおり、勧誘に先立って勧誘の目的を告げることが義務づけられましたが、さらに加えて、キャッチセールスやアポイントメントセールスを規制するため、目的を隠して公衆の出入りしない場所(営業所やホテルのセミナー会場、カラオケボックスなど)に誘い込んで勧誘することは禁止事項とされました(法6条4項、34条4項、52条3項)。
 これに違反すると、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金となります(法71条、併科あり)。<平成21年12月より,1年以下の懲役または200万円以下の罰金に引上げ(法70条の3)>

クーリングオフの妨害あれば過ぎても解約OK!

 クーリングオフ(=頭を冷やして解除)制度とは、契約後一定の期間内なら、無条件で、理由も負担もなしに契約を解除できる制度です。(3)通信販売には法制度として盛り込まれていませんが、(1)訪問販売(2)電話勧誘(4)特定継続的役務については8日間(5)マルチ商法(6)内職モニター商法については20日間に限り、クーリングオフが法律で定められています。
法律で認められているクーリングオフ期間(契約日を含める)
◆ 訪問販売─────────────────8日間
(家庭訪問販売・アポイントメント商法など)
◆ 電話勧誘販売───────────────8日間
◆ 連鎖販売取引(マルチ商法)────────20日間
◆ 特定継続的役務提供────────────8日間
(エステ・学習塾・家庭教師・語学教室・パソコン教室・結婚情報サービス)
◆ 業務提供誘引販売────────────20日間
(内職・モニター商法)
 これを妨害する行為、たとえば、特殊な契約だからできないとウソをついたり、多数で押しかけて説得するなど威迫する行為については禁止され、違反すれば2年<平成21年12月より「3年」>以下の懲役または300万円以下の罰金刑が科されます(併科あり)。
 しかし、契約そのものは有効なままで、従来は期間がすぎれば、理不尽なことに、こうした事情があってもクーリングオフはできませんでした。
 平成16年11月の改正により、このような行為があれば、いつでもクーリングオフができると期間が大幅に延長されました(法9条、24条、40条、48条、58条)。ただし、業者がさらにもう一度、クーリングオフについての書面を交付して、しかもそれについて説明したときには、そのときから8日あるいは20日以内に解除する必要があります。
 <ちなみに,訪問販売については,過量販売があれば1年間のクーリングオフが新たに盛り込まれました(平成21年12月1日施行。くわしくはそよ風162号)>

重大なウソなどあれば契約は取り消せます

 同様に、禁止事項とされている不実告知(ウソを告げる)や重要事項を故意に告げられなかったときにも、それ自体は刑事罰となりますが、だからといって契約が無効になることもなく、契約を取り消すには、民法や消費者契約法(そよ風110号参照)によるしかありませんでした。民法では立証する義務は消費者にあり、また、マルチ商法や内職モニター商法では「消費者」に該当しない(事業者とみなされる)ため消費者契約法が適用されないなど、多くの制約がありました。
 そこで、禁止事項となっているウソを告げられたり、故意に重要事項を告げられなかった場合には、契約そのものを取り消すことができることが特商法に盛り込まれました(法9条の3、24条の2、40条の3、49条の2、58条の2)。これにより、悪徳商法でだまされた契約の取消しはぐっと容易にできるようになりました。

マルチ商法――いつでも中途解約できます

 マルチ商法は、ビジネス経験のほとんどない大学生や主婦を狙い、被害が広がっています。そこで、(4)特定継続的役務(6)内職モニター商法ではすでに導入されていた、中途解約と返品ルールを新たに取り入れました(法40条の2)。
 まず、会員は、いつでも、中途解約できることが法文で明記されました。
 しかも、入会して1年以内で、90日以内に購入した商品(再販・使用消費・滅失毀損はダメ)をもっている場合は、その在庫を返品して最低90%の代金を返金してもらえることとなります。
 商品の購入にクレジット(分割払い)を利用している場合でも大丈夫です。特商法と同時に「割賦販売法」も改正され(30条の4、35条の3の19)、マルチ商法で生じているトラブルを根拠に、クレジット会社への支払も拒否できることが法制化されています。

効果絶大!?
    ならば根拠を示せ!

 虚偽・誇大広告は禁止されています。しかし、これを立証するのには多大の時間と費用がかかりかねません。
 そこで、(1)〜(6)いずれの取引においても、商品等についての性能・効能・品質・効果等がほんとうかどうか、合理的な根拠を示す資料を原則として15日以内に提出するよう、経済産業大臣等の主務大臣が命ずることができることとしました(6条の2、12条の2、21条の2等)。
 また、(4)特定継続的役務(5)マルチ商法(6)内職モニター商法に関しては、“もうかる”“多くの仕事がある”などの言の信憑性を裏付けるため、その得られる利益についても、同様に合理的な根拠を示すよう命ずることができることとしました。
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 オレオレ詐欺・架空請求・当選詐欺(車等が当たったので登録料等を払え)など、多数の被害者と巨額の被害額をうんでいる「振込め詐欺」については、契約・取引とはいえず、この特商法の対象とはなっていません。刑法・民法で対応することになります。




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